Thoeni社のコンポストとバイオガスの複合プラント
オーストリアの中でも、特に美しい環境に恵まれたチロル地方の名門企業であるThoeni社は、優れた工業技術と、数多くの実績に基づくノウハウにより、常に独自の斬新な発想で、コンポスト技術とバイガス技術をベースとした理想的なごみ処理システム、有機性廃棄物のリサイクルシステムを提案致します。
コンポスト、バイオガス技術開発のきっかけ
もともとアルミ鋳造設備や、アルミの圧延に関して高い技術力を持っていたThoeni社が環境分野に進出するようになったのは、チロル地方で廃棄物の焼却処分ができなくなったことがきっかけです。
焼却処分ができなくなったことから、残された廃棄物の処理方法として、以下の2つの方法が考えられました。
1. リサイクル可能な有機性廃棄物は、コンポスト処理をして、農地に還元する。
2. コンポスト処理してリサイクルすることができない廃棄物は、焼却処分が可能な地域まで運搬し、焼却処分をするか、埋め立て処分する。
以上の2つの方法による問題解決のために、Thoeni社はどちらの方法に対しても効果が期待できる、好気性微生物処理方法による新たな処理方法の開発に取り組みました。
密閉モジュール型コンポストプラントの開発
リサイクル可能な有機性廃棄物については、分別収集を徹底してをコンポスト処理をすれば良いわけですが、その処理をするためにはコンポストプラントが必要です。
コンポストはごく一般的に用いられている技術ですが、コンポストプラントには常に臭気の問題がつきまといます。
そのため、コンポストプラントは周囲にほとんど人家の無いような地域に建設されることが一般的ですが、険しい山々に囲まれたチロル地方ではそのような立地はほとんど無く、周囲に民家が隣接していても、臭気の問題が起きないようなコンポストプラントを建設する必要がありました。
コンポストとしてリサイクルできない廃棄物の処理についても、臭気の問題が起きないようなコンポストプラントの技術開発が必要とされました。 焼却処分する場合においても、埋め立て処分する場合においても、2004年以降には処分場に持ち込む廃棄物の全有機炭素量を5%以下にすることが義務付けられ、そのために処分場に持ち込む前に好気性処理によって有機物をできる限り分解しておく必要性があったためです。 また、好気性処理によって廃棄物の水分量が減ることで減容し、運送コストを少しでも削減する目的もありました。
このような背景があったことから、臭気の問題が起きないコンポスト、好気性処理の新たな技術開発にThoeni社は取り組みました。
密閉モジュール型コンポストプラント TDMの完成
Thoeni社は臭気の問題を解決するため、臭気対策がしやすい密閉されたコンテナ状の発酵槽の中で処理する方法に着目し、そのシステムの開発に取り掛かりました。 同じような発送のシステムは他にもありましたが、全自動で最適な好気性発酵の条件を維持することができ、かつ機械トラブルの少ない完成されたシステムはありませんでした。
幸いThoeni社にはアルミ鋳造機械や、圧延機械など高度な機械加工技術の蓄積があったため、いくつかの試行錯誤を繰り返しながらも、ついに理想のシステムを完成させることができました。
このシステムは、スパイラルコンベア、ムービングフロアを利用した、密閉されたモジュールの中で理想的な好気性発酵の条件を維持できるシステムで、Thoeni Rotting Module (TDM)と名付けられました。