バイオガスプラントのメタン発酵槽と撹拌機
一般的にメタン発酵槽のレイアウトとしては、センターミキサーで撹拌する方式が最も効率が良いと言われていますが、必要とされる容量によって、建設コストの面から違う方式を採用する方が良い場合もあります。 ドイツのでは、原料の種類、性状、処理量、プラント建設のために投資可能な金額などの条件によって、いつくかの選択肢の中から最適な方式が選定されています。
縦型円筒形のメタン発酵槽
直径と高さの比率がほぼ同じか、直径よりも高さの比率が少し大きくなるような形のタンクの場合、タンクの上部から下方向へ長くシャフトの伸びたセンターミキサーによる撹拌が最も効果的とされています。
このようなレイアウトの発酵槽は、センターミキサーの重量に十分耐えられる構造のタンクを採用する必要があります。 タンクはコンクリートあるいはスチール製になりますが、容量が大きくなるほど、グラスコーティング鋼板による組立式タンクが、コスト的に最も有利になります。
高さの低い円筒型メタン発酵槽
メタン発酵槽の容量が大きくなれば、縦型円筒形のメタン発酵槽が有利になりますが、それほど大きな容量を必要としない場合、建設コストを低く抑えることができる、直径に対して高さの比率が小さい、背の低いタンクと、メンブレンのルーフを組み合わせたタイプの発酵槽がよく用いられます。
このようなケースでは、タンク壁面上部から斜め下方向にシャフトが伸びるミキサーによる撹拌が効果的です。
横型円筒形のメタン発酵槽
処理量が少ない容量が小さい場合は、横方向に長い円筒形のタンクを利用した発酵槽が用いられることがよくあります。 撹拌は横方向に取り付けられたシャフトのパドルを回転せて行ないます。
プラントの規模が小さい1990年代まではよく用いられた方式ですが、発電量を増やすために処理用が多くなった今日では、新たに採用されることはほとんどなくなりました。
その他のメタン発酵槽
いわゆるドライメタンでは、横型円筒形のメタン発酵槽を大きくした発酵槽が用いられている場合もあります。
水分の少ない原料を処理するために開発されたシステムで、剪定枝と比較的水分の食品残渣などを処理するバイオガスプラントで用いられているケースがあります。
40ftコンテナの規格サイズのモジュールタイプのメタン発酵槽
もともとオーストリアのチロル地方の小規模な畜産農家でも設置しやすいサイズ、デザインの発酵槽のニーズに応えるために開発されましたが、簡単に移動させることができることから、メタン発酵の各種研究用パイロットプラントにも用いられています。