バイオガスプラントの加温・殺菌のためのスパイラル熱交換器
ドイツのM&G社は、モジュール型スパイラル熱交換器を利用した、スラリーやスラッジの加温システム、殺菌システムの設計、製造を行なうエンジニアリング会社です。
スパイラル熱交換器を利用することで、効率的でトラブルの少ないバイオガスプラントの加温・殺菌処理を行うことができます。
バイオガスで失敗しない方法
スパイラル熱交換器は、非腐食性アルミニューム合金製部材により構成されています。
左回転と右回転の、回転方向が異なる構造体(モジュール)を積み重ねることにより構成された、コンパクトで高効率の熱交換器です。
このスパイラルの溝を持つモジュールは、液体の流れる方向を大きく変えることがないよう、時計方向と、反時計方向に流れる2系統の螺旋状の溝により構成されています。 このような構造を持つことにより、液体の流れる向きを急激に変えることなく、モジュール間の移動を滑らかに行わせながら、効率良く熱交換を行うことができます。
スラッジ等の汚濁した液体は上部から底部に向かって流れますが、この時は重力の方向に流れてくるため、固形物が途中で詰まる危険性が少なくなります。
また、液体が流れる溝の内面は、サンドブラスト仕上げによる滑らかな表面となっており、また台形の断面を持つ螺旋状の溝が独特の液体の流れを生み出されることにより、溝の表面に汚濁物が付着しにくくなり、高い熱交換効率を長期間持続させることができます。
モジュールは1段づつ積み上げる方式であるため、各モジュールの取り外すことで、万が一詰まりが起きても詰まりの除去や、点検、清掃等を簡単に行なうことができます。
このモジュール式スパイラル熱交換器は、下水処理施設や、バイオガスプラント等でのスラリー、スラッジ、有機性廃棄物、動植物残渣等の加温に最適です。 また、溝の表面を特殊コーティングすることにより、食品分野でも使用することが可能です。
スパイラル熱交換器の特徴と仕様
- 台形の断面を持つ螺旋状の溝により、特にスラッジ状の液体の場合は、独特の二次的な乱流が生み出されることにより、粒度が最大20mm迄の範囲内では熱交換効率が向上します。
- 鉄に比べて熱伝導率の高いアルミニュームを使用しています。
- 液体に接触する溝内面は滑らかに仕上げられています。
- 構造体壁面からの高い熱伝導と、乱流効果による高い熱伝達により、500−2,500W/m2 Kの高い伝熱係数を実現しています
- 沈殿物等で詰まる可能性が非常に少ない為、高い熱伝導と高い熱出力を実現しています。
- 熱交換面積:1.5m2〜15m2の範囲内。
- 流量範囲:5〜30m3/h
- 温度範囲:90〜110℃
- 水圧:4〜6bar
- 熱交換器能力範囲:20〜800kW
1モジュールの寸法及び重量:
径: 980mm
高さ: 175mm
重量: 110kg
1システムの最大高さ: 2200mm
スパイラル熱交換器の材質について
- 熱処理により、鉄と同等の硬度を持つアルミニューム鋳造部材を採用しています。
- 耐蝕性に富んでいます。
- 溝の内面は、油脂分やたんぱく質が付着しにくい滑らかな表面で、有機酸による腐食にも強い材質です。
- 熱交換器内部の清掃の必要はほとんどありません。
- シールの材質は、高温にも耐えられ、バクテリアが繁殖しにくいものを採用しています。
- 通過させる液体の性状に応じて、テフロン等をコーティングすることも可能です。
スパイラル熱交換器の使用条件
- 重金属を含んだ懸濁液は、磨耗の原因になりますので、通過させないで下さい。
- 有害な物質を除去した後の、TS濃度15%までの懸濁液であれば、詰まりや、保守管理が必要となる可能性はほとんどありません。
- 清掃を行う場合は水を利用して下さい。
- コンパクト設計ですので、小さな設置スペースでOKです。
- リサイクル可能なアルミニュームを使用しています。