世界のバイオガス事情
界中にバイオガスプラントがありますが、これらの技術水準は様々です。 アジアにおいては、手作りの簡単なプラントが何十年も前から数多く稼動しています。
ヨーロッパにおいては、1990年代以降に技術水準が高く、自動化の進んだプラントが多く稼動するようになってきました。 世界の他の地域においても、バイオガスプラントの技術進歩をみたのは、この期間であるといえます。
アジア地域のバイオガス
中国においては、確かな数字はわかりませんが、また、これら全てが今現在も稼動しているかどうかわかりませんが、6〜7百万ヶ所のバイオガスプラントが存在するという説があります。インドにおいても同じような状況で、百万ヶ所のバイオガスプラントがあるという説もあります。
これらプラントは保温もなにもない、ただ地面に穴を掘っただけの発酵槽による、全くの手作りのものです。非常に単純なものですが、コストもかからず、これはこれで十分に用が足りています。
これらはのプラントでは、家畜の糞尿や家庭からの生ゴミ等が原料として“発酵槽”に投入され、投入された原料は1年毎に全て汲み出して液肥として農地にまかれます。 回収したバイオガスは、調理や照明用の燃料として利用されます。
非アジア人により書かれたレポートの多くは、中国とインドだけの事情について言及していますが、ベトナムやタイ等他の国々でも多くのバイオガスプラントが稼動しています。 アジア諸国はローコストでバイオガスプラントを建設する多くの経験を持っており、多くの大学や研究所でもバイオガスの技術を発展させるための研究を行っています。
このような背景から、アジア諸国は農業廃棄物のバイオガス化のための生物学的、化学的な知識を持つ国々であるといえます。 効率良くエネルギーを回収できない理由は、単に資金的な問題だけであるといえます。
ただ同じアジアでも日本と韓国は上記のような事情にはあてはまりません。 1990年代後半以降、最新技術によるバイオガスプラント(ここではドイツ、デンマーク、オーストリア、スイス等のヨーロッパ諸国からの技術導入により建設されたものを意味します)が建設され、バイオガスビジネスが誕生しました。 しかしながら、日本においては売電においてまだまだ高いハードルあり、建設コストも高いことから、ビジネスとして確立していると言える状態ではありません。
南北アメリカのバイオガス
南アメリカでは下水処理で嫌気処理を行っている施設はたくさんありますが、廃棄物を嫌気処理する施設についての情報はほとんどありません。 バイオガスプラントを推進しようとする試みはあるようですが、経済的な事情によりこれといった成果はでていないようです。
北アメリカでも似たような状況でしたが、事情は変わりつつあります。アメリカ合衆国は京都議定書を批准しませんでしたが、再生可能エネルギーの利用を推進しようとする強い動きがあります。 これはカナダも同様です。
もともとノースアメリカン大学主導のもと廃棄物の嫌気処理について研究が行われておりました。 これらの研究成果は1960〜1970年代の論文に見ることができます。 しかしながら、1970年代半ばにフロリダで建設中のプラントで発生した重大なトラブルにより、その後の技術進歩にブレーキがかかったようです。
今日北アメリカにおいてバイオガスプラント建設に関し関心が高まってきており、2000年代に入ってから経験豊富なヨーロッパ企業の技術により家畜の糞尿や、ジャガイモのデンプン工場の残渣や廃水などを処理する大規模なプラントが建設されるようになりました。
ヨーロッパのバイオガス
1980年代半ばにデンマークと旧東ドイツで広域処理型の大規模なバイオガスプラントが建設されだしました。 同じころ旧西ドイツでは 戸別型の小規模農業用のプラントに大きな関心が集まっていました。
今日ではデンマーク、ドイツともに、小規模なもの、中規模なもの、大規模なもの等様々なプラントが稼動しています。
しかしながら、デンマークでは今日のドイツのように新しいプラントがどんどん作られることがないため、技術水準的には旧来のもので、世界中で一般的に利用されているものです。
スペイン、イタリア、ベルギーやオランダ等、ヨーロッパの他の国においては、1990年代後半から2000年代前半にやっと初めてのバイオガスプラントが建設または稼動しだした状況ですが、あと数年で現在のデンマークやドイツと同じような状況になるかもしれません。






